越後のやさい旅(2)新潟の盆市と自家採種

ごぶさたしてます。
たね畑のちいさんぽ、今回は、畑ではなく、新潟の盆市を紹介します。
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タネを採りつづけること。
それは、お金には変えられない価値。
タネは母から娘へ受け継がれ、料理や暮らしを次世代に伝える生きた文化財なのです。

そして、
「おいしいから、家庭の味を守るため」以外で、種を保存するもう一つの理由-。
それは、 かみさまへの捧げもの。

古来から、米や芋、雑穀など、その土地に古くから伝わってきたものを御贄(みにえ)として、神様に捧げる行事が各地に残っています。
食生活は、どの時代も変化があるものですが、儀式に使われる神饌は、古来から変わらず守り継がれていることが多いのです。

ヒメウリ、ハマナス(赤ナス)、シロナス、ユウゴウ・・・
新潟の盆市には、色とりどりの作物がずらりと並ぶ、夏の風物詩。
その盆市には、この時期にしか、市場に出ない野菜が並ぶのです。

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赤ナス・・・昔はハマナスが使われていたとか。ナスの台木につかわれるのは、葉っぱがとげとげの赤ナス。

赤ナス・・・昔はハマナスが使われていたとか。ナスの台木につかわれるのは、葉っぱがとげとげの赤ナス。

ゆうがおのあかちゃん

ゆうがおのあかちゃん

しろなす・・・ナスの英語はegg plant。卵のように白かったと言われています。

しろなす・・・ナスの英語はegg plant。卵のように白かったと言われています。

コヒメウリ・・・雑草メロンの一種。こどもがおやつに食べていたそうです。

コヒメウリ・・・雑草メロンの一種。こどもがおやつに食べていたそうです。

ササゲ

ササゲ

新潟には、5と0のつく日に開かれる五・十市や、毎月2と7のつく日に開かれる二・七市など、定期的に日用品や食べ物を売る朝市が開かれています。
定期市のほかに、お盆には、「花市」とか「盆市」と呼ばれる盆用品を売る臨時市が立ちます。

また、お盆になると、 オショライ棚(精霊棚)とよばれる盆棚に盆花・ハスの葉・コモ・ハマナス・小型のリンゴやナシを供える習慣があります。
真言、曹洞宗の場合は、カンナとよばれる白い糸に、ホウズキ・ナシ・ヒメウリ、インゲン、ソウメンを糸の両端に結んで下げます。食べるためというより、その飾りのために、自家採種で代々受け継がれてきた種が残されているのでした。

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長岡市の盆飾りの例

長岡市の盆飾りの例

「タネはどうしてるのですか?」
市場で、農家さんに尋ねると、、近所から種をわけてもらうとか、昔から庭に生えていた、と言います。
昭和50年代頃から、だんだんと、ヒメウリに代わって入手しやすい白ナスが、ハマナスに代わって赤ナスがから出回るようになったそうです。

盆が終わると、棚に飾られていた野菜・花は近くの川に流されます。

その土地にしかないもの。
その時期にしかないもの。

人はなぜそのタネを採りつづけるのか。
タネは、土の香りや栽培してきた人たちの記憶を伝えるものです。
ずーっと昔から、守られてきたいろとりどりのミニチュア野菜たちにすっかり魅了されてしまいました。

 

 

参考文献:新潟県民俗学会「高志路」第368号 盆行事特集

 

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