野口種苗研究所 野口勲さん①

「最初にお会いした タネのエキスパート」

昨年10月~12月にかけて、私たちは仲間とともに、タネと食に関するドキュメンタリー映画を上映する「たねびと映画祭」を開催しました。その第1回目の作品は「モンサントの不自然な食べもの」。スペシャルトークゲストとして野口種苗研究所の店主、野口勲さんをお招きし、ご講演頂きました。

野口さんは在来種、固定種、全国各地の伝統野菜のタネのみを扱うタネ屋さんを経営。各地での講演、著書を通して「タネが危ない」理由を語り、タネの多様性を守るために精力的に活動されています。(その熱量はホームページを見てもおわかりいただけます)

少年時代は手塚漫画に没頭。虫プロに入り「火の鳥」の初代編集担当をされたというユニークなご経歴をお持ちであり、私たちも野口さんから直接、タネをめぐるお話や手塚治虫氏から受け継がれたことを伺いたいと思い、講演をお願いしました。

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当日の会場は老若男女、様々な経由でご参加頂き、定員30名の部屋はぎゅ~ぎゅ~。「聴きたい!」という期待で溢れる中、講演ははじまりました。

最初のスライドはご自身の幼少時代の写真。ユーモアを交え、会場を和ませながらお話しを進めるのですが、さっそく核心に迫ります。

『この写真の中にある看板の「一粒一万2千倍」という文字。(通常は一粒万倍ですが)昔からタネは一粒のタネをまくと一万倍のタネができると言われていました。無限の命を持って生れてきていた。それが、今は撒いてもタネが採れない。そういう種がどういう風に生まれるかが、話の中心になります』

その後は3時間半ノンストップで、次々と話が展開します。

前段の中心は生命の誕生とミトコンドリアの重要性について。

・ミトコンドリアにより我々生命は進化した

・ミトコンドリアが放つエネルギーによって植物も動物も生きて活動できている

・ミトコンドリアは父方からは遺伝せず、母系遺伝する(これ重要)

・ミトコンドリアはくたびれてくると活性酸素を出す

・ミトコンドリア遺伝子が傷つくとがんが転移したり、ミトコンドリア遺伝子が変異を起こし自ら傷つけば生命は死を迎える

など。手塚マンガ「アポロ」の一コマや、様々な図解を用いて熱弁されていました。

「こうしてミトコンドリアのことをがたがたと話すのは、野菜の品種改良にとってもミトコンドリアが非常に大きな役目を果たしているからです」

(会場:ふむふむ)

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中断以降はいよいよタネについてです。アフリカ発で人類とタネが世界中に広がった話にはじまり、メンデルの法則のおさらい、固定種とF1種それぞれの利点という話を経て、次第に「タネが危ない理由」に迫ります。

・生命は雑種になると雑種強勢という力が働き生育が早まったり大柄になる。この性質を生かして広がったのがF1(First filial generation) 。

・F1種の野菜は決まった時期に収穫でき、大きさも風味も均一で流通向き。特定の病害に耐病性を持つ。ただしその性質は一代限りなので、農家は毎年タネを買う。

・固定種の野菜は収穫時期も形も揃いがバラバラ。味がよく環境適応力があり病気に強い。自家採種できる。

・F1を作るには雑種にしなければならない。そのために「同品種のなかで子孫が残せないようにする」技術が用いられている。

・ミツバチはそのために姿を消したのではないか(仮説)

・戦争で余った爆弾の材料と毒ガス兵器が化学肥料、農薬に代わり、塩化ビニール(ハウス用)と三本柱になって、それに適応した改良品種、F1種が育成された。

・遺伝子組み換え産業が世界の育苗会社を買収により飲み込んでいる

などなど。初めて知る事実も多く、会場のみなさんも「むむむー」という雰囲気。

なかでも野口さんが力を入れていたのは、F1を作る技術のうちの「雄性不稔」という方法でした。

ふう。だいぶ省略しているのですが、何せ3時間半の講演。簡単にまとめすぎてももったいないし、長過ぎるのもよくない。ということで、次回につづきます。

(つづく)