カフェスローさん③「つづくたねの野菜プレート」編

つづくたねのインタビュー。

三人目はキッチンご担当の北村さんです。「つづくたねの野菜プレート」を通して伝えたいこと、お料理をしているからこそわかる在来種の魅力や、トライされていること等々をお伺いしました。

たねうた:「たねのプレート」ができるとはじめて伺ったときとても嬉しかったのですが、どのような流れでメニュー化が決まったのですか?

北村さん:今後のメニューを決める中で、2月のイベントを受けて何か1つ形に残るものとして、お客様に提供したいという思いがありました。

たねのうた:1日12食限定だと、運が悪いと食べられないこともありますが、その数にしたのはなぜでしょうか?

北村さん:もうちょっと用意できたらいいのですが、(野菜の)サイズにばらつきがあるので、同じバランスで多く作ろうと思うとどうしてもロスになる部分が出てしまうので、量産しないようにしています。一つの野菜と向き合う時間が他の野菜に比べて長く、気持ちを入れられる量として12食が今はちょうどいいです。大切に作ってあげられる量ということですね。

たねうた:大きさが違う他に、扱い方や味など調理をする上での特徴はありますか?

北村さん:今はwarmerwarmerさんを通して岩崎さんの野菜と、ナチュラルシードネットワークさんの野菜を使っていますが、その中でも岩崎さん野菜は見た目の個性が強いので、できる限りその形や色を生かした料理をと思っています。味付けも素材の味を感じて頂ける様に、他のプレートよりは控えめにシンプルにしています

▼この日のメニュー。どちらからのお野菜かがわかるような工夫がシンプルにこらされています。
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たねうた:岩崎さんの野菜といえば、、、今日のプレートに入っていた葉ごぼう、おいしいですよねー。とても好きです。

北村さん:ですよねー。最初に届いたころは小さかったのに、次々と、1週ごとに成長していくのが面白いんです!ひょろひょろだったのに、どんどん茎も太くなって味もえぐみが増して。

たねうた:季節にともなって野菜の種類が変わるだけでなくて、1つの野菜の成長過程もあらわれるんですね。それは面白いです。(しばらくメニューの野菜の話で盛り上がる)

たねうた:ところで、北村さんは「つづくたねの野菜プレート」をどんな思いで提供していらっしゃるのですか?

北村さん:野菜としてはどれも扱い方は一緒だと思っていますが、(4月に開催された)種市で岩崎さんに出会ったことは私にとって大きいです。岩崎さんの野菜への愛情をすごく感じて、私もその想いにつられるように野菜が愛おしくなりました。岩崎さんの想いををお客様にも少しでも伝えたい思っています。在来種という野菜があることを知ってもらうきっかけになってほしい。さらに見た目の美しさ、華やかさも目で楽しんでもらいたいです。

たねうた:確かに。プレートは見ていて楽しいですね。個性をいかそうとしているのがよくわかります。今日のカブの切り方、ニンジンの葉っぱもそうですね。

北村さん:とにかくかわいいんですよ。野菜が届いて段ボールを開ける時、今回はどんな野菜が入ってるのかなとワクワクしています。他の料理ももちろんちゃんと作っていますが、たねプレートは1つ1つの素材に向き合っているので、なるべくその形と美しさを伝えて、さらに美味しく食べてもらえたら。1つ1つの野菜にお客様も向き合っていただけたら嬉しいです。

たねうた:それにしてもすごい人気ですよね。今日も即売り切れでしたもの。「つづくたねの」という名前にもそそられますよね。

北村さん:そうですね。知識のある方はもちろん、ただ野菜がたくさん食べたい、名前にそそられて、などどんな理由でもいいので、まずは在来種という存在を知って頂くきっかけになればと思っています。カフェスローに来て何か1つでも持ち帰ってもらえるものがあればいいなぁと。それがたまたまたねだったりと

▼たねのことをコンパクトに伝えるペーパーもお皿とともに。中身はお店に行ったときのお楽しみに。。。
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たねうた:イベントの前後で、キッチンのみなさんの中で野菜に対する考え方、会話に変化はありましたか?

北村さん:2月のイベントに加え、種市を通しても全員の意識が変わったと思います。季節もちょうど春に向かうところだったので、種まきをやりたいと思っていたところに勇気と力をもらいました。そして私たちに何かできることはないかと考えました。やはり直接生産者さんに会えたのは大きかったです。これまでもさわのはなの高橋さんには何回かいらしていただいているし、スタッフで山形にも行きました。ナチュラルシードネットワークの石井さんのところも何人かが行きました。作り手の方と直接会うのと会わないのとでは愛情の大きさが違います。生産者さんからカフェスロー、そしてお客さまへと、愛情の温度を下げずに、橋渡しとなっていきたいです。あと岩崎さんの野菜は届くときに手紙が入っているじゃないですか。あの手紙にもやられました。

たねうた:わかります!!醸し出す雰囲気と発する言葉が愛に溢れていますよね。

北村さん:そうなんです。1つの野菜を切り出してあれだけ語れるのはすごいことですよね。愛情が手紙から伝わってくるし、泣けるような話もあるし。岩崎さんの野菜へのラブレターです♡あのお手紙を読む度に、直接お会いしてみたいと思っていました。

たねうた:ナチュラルシードネットワークの石井さんも、岩崎さんの持つ世界観とは違う熱意を持っていらっしゃるから、お二方の野菜がお皿の上で共演しているというのが豊かな組み合わせだなと思ってみています。

北村さん:岩崎さんの野菜だけでは種類が偏ってしまって。1つのプレートとして絵的にも成り立たなくなるのでバランスを取りながらやっていきたいと思っています。

たねうた:「飲食店がレギュラーで在来野菜を使うとなると、形にバラつきがあるのでしんどいかもしれない」というお話を聞きますが、広く普及するにはどうしたら良いと思いますか?

北村さん:私達ももっと多くやりたいと思いますが、その為につらくはなりたくないし、楽しくやっていきたいので今はこの規模が精一杯です。こちらでおいしい体験をして頂いて、今度は自宅でも少し取り入れてみようと思われる方がいらっしゃればいいと思います。野菜提供者の名前を出していますから、個人宅配を申し込むといった形につながればよいですね。

たねうた:知ったら魅力を感じる人は沢山いらっしゃるでしょうね。「たねと食の美味しい祭り」でも野菜販売は好調でした。

北村さん:私が個人的にwarmerwarmerさんと一緒に出店している国立の「ニチニチ日曜市」は、小さなスペースですがリピーターが多いのです。warmerwarmerさんの野菜も飛ぶように売れるわけではありませんが、定期的に買える場があるのは大事ですね。日常ですからね、食べることは。もうちょっとしたらこちらの中庭でwarmerwarmerさんの野菜を売ってもらいたいと思っています。(現在、週末限定で販売しています)

たねうた:それは良いですね。ところで、今後メニューはどんな風に変わっていきますか?

北村さん:一つの野菜でも地方によって、名前も色も形も違うという、在来種ならではの多様性を表現していけたらと思っています。極端に言えばなすだけのプレートとか!笑

たねうた:メニューの切り替えのタイミングは決まっているのですか?

北村さん:自分たちが感じたら変えていきたいです。それを作るためにこの野菜を注文する、というのではなく、旬の野菜をみると自然とそういうメニューになっていくというのが理想です。お客様メインじゃなくてすみません。私たちも食べたいからきっとお客様も食べたいよねって(笑)

たねうた:楽しさがお皿に現れるのでしょうね。メニューに変化があると、やっぱりリピートしたくなります。プレート以外に、何かやってみたいことはありますか?

北村さん:自分たちで種を取ったり撒いたりしたいです。タネとりワークショップもやりたいですね。どういう状態で種になって、どうしたら芽がでるようになるのか、関心がいくようになりました。私達もまだ勉強中ですので、お客様も巻き込んで一緒に学んでいけたらいいですね。

▼この日、エントランスには岩崎さんの大根のさやが干されていました。
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ここから先は、、、北村さんのこれまでの人生についてお話を伺い、盛り上がってしまいました。料理を仕事にすることになったきっかけ、旅先インドでのできごと、震災を機に変わったことなどなど。とても興味深くて、別途個人的に時間を設けさせていただきたい程でした。

そして、北村さんが最後におっしゃっられたのはこの言葉。

「食べることは全員に生きる上で必要不可欠で楽しみの1つですよね。1日3食あるうち1食でも身体と心が幸せになる料理を食べてほしいです。安心で美味しくて、五感で感じていただけるような料理。その1つが種にこだわったものであったり。存在を伝え、生産者さんの思いを届けていきたいです。」

渡邊さん→間宮さん→北村さんとつづいたインタビュー。

皆さん、個人の思いをベースに、小さなきっかけ、小さなつながりを丁寧に作り、広げていらっしゃしました。「たねをつなげることがなぜ大事なのだろう。」と、私も問い続けていますが、やはり「おいしい!」や、農家さんや野菜の持つ「その物語にはそそられる!」いう感動があるから知りたいと思うもの。 プレートのつづき、イベントのつづき、これからも楽しみにしています。お忙しい中ありがとうございました。

カフェスロー http://www.cafeslow.com/
所在地:東京都国分寺市東元町2-20-10
定休日:月曜(祝日の場合は営業、火曜振休)

※カフェスローさんが綴るたねの話題は、こちらのブログにまとまっています。
日々雑記カテゴリー「つづくたね、のいろいろ」: http://blog.cafeslow.com/?cid=55227

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