カフェスローさん②「たねと食のおいしい祭」編

つづくたねのインタビュー。お二人目はカフェスロー オフィスマネージャーの間宮さんです。「たねと食のおいしい祭」が開催に至った背景と、イベント後のお客様・出店者のみなさんの反応について伺いました。
 
たねうた:「たねと食の美味しい祭」は大盛況で楽しいイベントでしたね。
 
間宮さん: おかげさまで。
 
たねうた: カフェスローさんでは多くのイベントを開催されていますが、間宮さんが企画をされているのですか?どんなお仕事をされてきたのか教えてください。
 
間宮さん: 現在の日常業務としては総務が中心で、事務方全般です。2001年頃、地域通貨への関心を契機にカフェスローと出会い、ナマケモノ倶楽部の活動に参加するようになりましたが、当時は会社員でした。休日を利用し、カフェスローをホームグラウンドに地域通貨の活動をする中で、各地の有機農家さんと出会いを重ねていき、2006年には農的ライフスタイルを発信するトージバさんと出会いました。その頃、弊社代表の吉岡から声がかかり、当時吉岡が兼任していた店長職を引き継ぐ形で、カフェスロースタッフに採用されました。カフェスローとトージバ、ナマケモノ倶楽部のコラボで日本各地の在来大豆に光を当てた「地大豆カフェ」というイベントを開いて以来、農と食をテーマに沢山のイベントをやってきました。その盛り上がりに並行してHYPERLINK “”アースデイマーケットや、トージバの方が中心になって種まき大作戦が生まれ、それが「土と平和の祭典」にいたるという風にムーブメントが拡大していった時期でした。カフェスローとしてもそれぞれの動きと関わりを持ってきました。
 
たねうた: (たねと食のおいしい祭)運営メンバーのみなさんとはずいぶん長いお付き合いなのですね。
 
間宮さん: はい。ただ、2008年にカフェスローの店舗移転に前後して業務多忙の時期が続き、一時期ほどの親しいお付き合いは薄れていたのです。
 
たねうた: 当時はどのようなことをなさっていたのですか?
 
間宮さん: お店が駅から近くなり、カフェとしてより幅広いお客様に使っていただく中で、お客様が来店されてから帰るまでの間、メニューやサービスの中に我々のメッセージをどう表現し伝えられるかが大事な要素になっていた時期でした。それまでイベントを通じて培ってきたメッセージ性やつながりと日々提供するメニューとが少しずつ融合していくような流れができていきました。一方、イベントに関しては、以前ほど外部の方と一緒に何か企画する余裕がなく、アースデイマーケットや土と平和の祭典への出店も見送ってきました。ただトージバさんとは「フードハートパーティー」というイベントを2008年から毎年、2月の農閑期に開催していまして、これだけは何とか続けてきました。「農家さんと友達になろう!」をキャッチフレーズに、農家さんと一般参加者の交流、マッチングしてもらおうというものです。これが2013年の「たねと食のおいしい祭」につながりました。
 
たねうた: 4年前にベースはあったのですね。
 
間宮さん: このパーティーを続ける中で、トージバさんだけではなく、アースデイマーケットさん、週末農風さんと恊働で年に1度のパーティーを作るという流れができていきました。そんな中、PEACE DELIの新納さんがカフェスローに2011年、加入しました。彼には主にケータリングや出店事業を担当して頂き、店の外で動く機会が多かったこと、また元々の人脈も非常に広い方でしたので、2008年の店舗移転後に店の業務から手を離せない状況が続いていた私たちを、再び外部の方とつなぎ直してくれて交流が生まれてきていたのです。土と平和の祭典への出店も再開するなど、いい空気が少しずつできてきたんですね。ただフードハートパーティーに関しては、4年間続けてきて、震災もあり世の中の状況も変化しているなか、また2013年も同じ事を繰り返すのがいいことなのか、という迷いがありました。特に、店にこもりっぱなしの今の自分には、世の中の潮目が見えていないという感覚があったので。そこで2013年のフードハートパーティーの企画会議に先立ち、運営メンバーの皆さんに向けて、あらためて聞いてみたのです。「今、本当に求められているものは何だろう?」そしたら答えが「たね」だったのです。今までの経験を活かして、同じメンバーでたねをテーマに取り組もうということになりました。ですから、「たねと食のおいしい祭」はカフェスローだけの力でできたわけではないのです。色々なつながりと積み重ねがあって、つなぎ合わさって、いろんな方が力を添えてくださいました。
 
たねうた: 確かに一時的に集結したっていう空気ではなかったですよね。オープニングから良い雰囲気でした。
 
間宮さん: 出店者の方とも1、2年のお付き合いではない、信頼関係がベースにあったのもよかったです。
 
▼第一部「マルシェ&飲食ブース」には、野菜、鹿肉、自然米酒などがずらり。IMG_0158
 
▼第二部「たねの祝」では、在来野菜をたっぷり使ったお料理をいただきました。
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▼7人シードセーバーが集結。
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たねうた: 実際イベントの計画段階での、ご関係者の反応はいかがでしたか?
 
間宮さん:非常に熱心な反応をみなさんが返して下さいました。準備期間が短くて申し訳なかったのですが、みなさんがそれぞれの文脈や価値観でイベントの意義、大切さを見いだして、共感を寄せて参加してくださいました。
 
たねうた:出店者の皆さんは、それぞれ日頃からたねの大切さを発信していらっしゃる方々なのでしょうか?
 
間宮さん: グラデーションがあります。ほとんどご存知ない方からエキスパートの方まで幅広くお招きしたのですが、それには意図がありました。農や食のイベントをやる中でひとつの閉塞感や行き詰まりを感じていた面もあったのです。というのは、カフェスローはイベントとなると満席でも80~100人くらいしか入らない。ゲストへの謝礼や店の採算もあるので、それなりの入場料を設定します。結果、例えばたねがテーマの場合、たねに非常に関心の高い人たちばかりがいらっしゃることになります。そういう方たちだけに発信をしても、すでにわかっている人同士でたねの大事さを再確認するだけで終わってしまう。それはもうそろそろいいんじゃないかという考えがありました。そこからもう一歩、カフェスローとして次のステップにいくにはどうしたらいいか?普段のお客様にも強く伝えたいのに、イベントと普段のお客様が別々になっていたのをクロスするように、また、なるべく敷居をさげたいという思いもあり、初の試みとして昼間の第一部は入場無料ということにしたんです。そうしたからには、たねのことに深く取り組んで下さる方だけではなく、共感をもって一緒に取り組んでいこうと言ってくださる方にも出ていただきたいと思っていました。たねとは全く違う文脈、たとえば地域通貨で関係のあった地元のカフェの方にも思い切って趣旨を伝えたら、快く参加して下さって。
 
たねのうた: それぞれのお客様にも告知されますし、裾野が広がりますね。
 
間宮さん: 「一緒にたねについて発信して下さい」というよりは「一緒にたねを楽しんで勉強しましょう」というニュアンスでお声掛けしました。出店を表明しながら「たねについて特に取り組んでいないし知識もない」と不安に思う方もいましたが、それぞれのアプローチで参加してくれれば十分だとお伝えしたところ、頭をひねってその方たちなりのアプローチを見せてくださいました。
 
たねのうた: そういう価値観やあの場の空気を共有するというのは、今後の良い関係につながりますね。
 
間宮さん: 今まで出会わなかったような人同士が一堂に会する交流の場になったので、新しいネットワークづくりのお手伝いになったのかなと思います。1つの共通言語ができましたね。単純に、みなさん楽しんでくださっていました。
 
たねのうた: お客様の反応はいかがでしたか?
 
間宮さん: 最初のミーティングで週末農風の考藤さんが、今一番たねのことを伝えたいのは若いお母さんだということを強くおっしゃっていました。その言葉があったおかげでイベントの敷居を下げようと決心できて、その結果としてそういう方がたくさん来て楽しんでくださったのはありがたかったです。
 
たねのうた: そういう方にはどんな風に呼びかけをされたのでしょうか?
 
間宮さん: 考藤さんがフライヤーやFacebookページを、ターゲットを考慮して柔らかく親しみやすいデザインで作成してくださいましたので、それを最大限に活用しました。特にフライヤーは店頭での配布や、近隣店舗への設置協力を通じて、日頃のお客様や地域の方々に手に取って頂くことができました。「入場無料」「お祭り」といったキーワードを強調できたのもよかったようです。こういうイベントができたおかげでスタッフの間にも1つの共通言語ができて、イベント後も「つづくたねの野菜プレート」など高いモチベーションで取り組むことができています。
 
▼温かみのあるフライヤー。
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たねのうた: 「たね」への取り組みについて、スタッフさんのモチベーションを支えるものはどのようなものでしょうか?
 
間宮さん: カフェスローで働いている以上、在来種・固定種を守っていくことの社会的意義については、どのスタッフも半ば当然のこととして理解をしています。しかし、メッセージとして伝える側に立つ以上は、生産者や流通の方と直接出会って交流することが大切だと思っています。お客様に臨場感をもって情報を届けるためには、理屈や社会的正当性よりも、五感を通じて体験で刻まれることの方が大きいです。
 
たねのうた: 私も、そこに関わっている人が見えて、おいしいと体感してはじめて、たねについて考えるスイッチが入りました。
 
間宮さん: カフェスロー自身、伝えたいことがあってもあまり理屈が先行しないように心がけています。美味しかった、カフェで過ごした時間を通じて、美味しかった、楽しかったという体験が先にあることで、メッセージがその人の心に深く入っていくのだと思います。
 
たねうた: 難しいと思われそうなテーマだと、特にそうですね。今後、来年の2月のイベントまでにやろうとしていることはありますか?
 
間宮さん: 10月の「土と平和の祭典」にもつなげていきたいです。もともと共催したメンバーとは、「たねと食のおいしい祭」から派生してそれぞれのいつものフィールドで次の動きを作っていって、来年にまた持ち寄ろうということを約束していたのです。
 
たねうた: すべてがつながるように意識して、考えて物事を動かしていらっしゃるのですね。
 
間宮さん: 目的はイベントそのものじゃなくて、その先にあるものじゃないですか。たねはもちろん、「多様であること」そのものが持つ掛けがえのなさというか。画一的で効率化した方がいいという考え方そのものに対してそうではない道を提案したいといのが根底にあります。
 
たねのうた: 多様であることは社会の柔軟性、安心につながりますね。
 
間宮さん: 生きやすい暮らしを自分たちで作っていきたいのです。
 
 
“多様性”。インタビューの最後に、とても印象に残る言葉をいただきました。人とのご縁やこれまでのイベントを丁寧につなげてきた「たねと食のおいしい祭」。1年経った来年の2月には、どんな形で、何を感じ合えるのでしょうか。。。今から楽しみです。間宮さん、ありがとうございました。
 
 
「つづくたねの野菜プレート編」につづく